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映画字幕と視聴者の期待

みなさん、どうも!ゆうすけ(@hyusuke59)です。

先日の6/29に関西大学にて第1回目となるワカテミートアップを開きました。とはいっても、集まったのは運営メンバーのみ。これから徐々に人数を増やしていきたいですね。

前半にワカテ翻訳の概要とそれに関連するブレインストーミング、後半に論文講読を行いました。

『ワカテ翻訳』の概要

当サイトの概要についてはこちらをチェック。
ワカテ翻訳とは?

主な議題にあがったのは二つ。
一つはこれからミートアップで何をやっていきたいか、ということです。一般的な論文購読や研究進捗の他にも色々な案が出ました。

もう一つの議題は、文献リスト作成の提案について。実は当サイトにて文献リストなるものを試験的に作成してみました。
翻訳ライブラリ 文献リストを作る目的は、学生・研究者はもちろんのこと、翻訳に興味がある人が大学などの機関に囚われず、気軽にリーチでき、学べるような情報の場を作ることです。また、文献だけでなくツールやコミュニティの情報も含むのでコミュニケーションを促すこともできるかもしれません。

これからメンバーが文献をどんどん追加していくことで、より便利なデータベースを作りたいと思います。

映画字幕と視聴者の期待

後半は論文購読の時間です。今回、発表した論文はこちらから読むことができます。

参考 映画字幕は視聴者の期待にどう応えるか『通訳翻訳研究』アーカイブ

字幕翻訳者の篠原有子さんによる論文です。彼女は視聴者50人にアンケート調査と字幕翻訳者4人にインタビューを行い、視聴者が持つニーズについて調査しました。具体的に、字幕翻訳の重要な規範または特徴である、字数、異文化要素、また吹き替えよりも字幕を選ぶ理由などを考察しています。

大まかにいうと、この論文は「視聴者のニーズと翻訳者が想定するニーズの食い違い」について述べられています。

“Friday 13th”は「13日の金曜日」で良いのか?―形式的と動的

視聴者は自文化に合わせた翻訳、つまり異文化的な要素を省略することや一般化するような訳出方法を好む傾向があると同時に、異文化要素をそのまま忠実に訳す手法を好む人もいます。つまり視聴者の好みは形式的翻訳と動的翻訳の二つに分類できます

一方、翻訳者が思い描く視聴者のニーズは前者のみの場合が多いことがわかりました。反対に後者のニーズは拾いきれていないのです。

ではそのニーズに応えるにはどうすればよいか。篠原さんは新しい形式の字幕ファンサブから知見を得ることができるのでは、と考えました。

ファンサブとは、主に文学作品における翻訳で、作品のファンが無償で行う字幕の翻訳のことです。ファンサブの翻訳者はほとんどの場合、アマチュアであり、プロが従う字幕翻訳の規範に従わない、いち視聴者である。これこそがファンサブの味噌です。

これを考慮して、篠原さんはファンサブが持つ特徴は視聴者のニーズを満たしている可能性がある、と述べます。そしてそれらの特徴をプロの翻訳者もうまく取り入れることができれば、拾いきれなかった異化のニーズを満たすことができるかもしれない、と結論づけています。

今回発表に使用したスライドはこちらから。

次回のミートアップは7月下旬を予定しています。参加希望・質問はお問い合わせからお願いします!

それでは!

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